Home > 軍事 > 撤収イコール撤退か?

撤収イコール撤退か?

  • 2006-07-06 (木) 10:35
  • 軍事

同じようで違います。地上波のニュースではこの件が出た当初、かなり混在してました。意味の違いを考えず適当に印象で言ってたとは思えませんが…。

そこで、各政党・各報道機関が自サイトで本件をどう書いてるか調べてみました。だいたい該当サイトの1-2箇所しか見てないので、混在があるかどうかは調べてません。

  • 自民党:撤収
  • 公明党:撤収
  • 民主党:撤退
  • 共産党:撤退
  • 社民党:撤退
  • おまけの国民新党…記事がなかったので代わりに:拉致問題が解決されないのみならず、今次、ミサイルが発射されたことは、外交についても最善を尽くしてこなかった小泉内閣の大きな責任である。

与野党でハッキリ分かれました。

  • 読売:撤収
  • 毎日:撤退
  • 産経:撤収
  • 朝日:撤退・撤収(チラ見で混在発見)

なんとも分かりやすい色分けです。

完全に余談になりますが、毎日で発信箱:「撤退」と「撤収」=山田孝男という記事があったので、参考までにリンクしておきます。要約すると「ウチはこういう時は全部撤退と表していたんだから、政府の言いなりに撤収とは書かない。辞書にはほぼ同じって書いてあるし」ということ。

試みに調べてみます。infoseekとmsnの辞書を引いてみました(どっちも三省堂でやんの)。それによれば、軍隊などが陣地などを取り払って退くこと。を撤退、軍隊が引き揚げること。撤退。を撤収としていました。英訳では同じ単語が割り当てられています。

毎日の山田氏の主張は一見正しそうに見えますが、まず詭弁が1つ、誰も英語での話などしていません。日本語の撤退と撤収の意味合いの違いの話をしています。Aと関係のないBの話でさもAが正しそうに見せるのは詭弁の第一歩です。百歩譲って関係あるとしても、2つ異なるの日本語の意味が英語に訳すと同一の言葉だから日本語も同一でいい、とは言えません。同様に、毎日新聞が独自にこの2つの言葉についてどういう扱いをしているかも関係ありません。自分ルールの話など誰もしていません。英語でも毎日語でもなく、日本語の話をしています。

この段落はお互い様な水の掛け合いになりますが、「人道復興支援活動は一定の役割を果たした。イラク政府からも国民からも高い評価と信頼を受け、感謝のうちに撤収できる」と撤退を正式に表明した。の“「撤収できる」と撤退を表明した。”って、日本語変じゃないですか?(カギカッコ内は小泉総理のコメント) そんなに“撤収”が嫌なら、新聞紙上と違ってwebに文字数制限なんかないんだから欄外に注釈つけといてくれればいいんです。発表が“撤収”なのに記事が“撤退”となっていることに何の説明もないのは不自然じゃありませんか。

で、本題のどう違うかです。撤退は軍事作戦中の行動の一種です。作戦中になんやかやして退かねばならない時に使います。負けちゃって拠点を取られるときとか。印象では(報道が印象で物を言うな)負けて逃げるイメージが一般にはあると思います。ツーカーが携帯事業から撤退、とか(これは例えで使われているのだろうか?)。対して撤収は、予定通りな行動のときに使います。

今回のイラク派遣は軍事作戦ではなく復興支援活動で(自衛隊が震災地域に駆けつけるようなもん…イラク人ぶっ殺してサマワを武力で制圧、占領でもしたってのなら話は別ですが)、いついつに行くと決めて出発し、いついつに帰ると決めたので片付けて帰ることになってます。よって、撤退ではなく撤収が“より”妥当です。イベント会場の後片付けを撤退と言いますか? 責任者(総理だな)も撤収と言っており、発言と実態に巨大な乖離は見られません。

逆に政府がコレを撤退とか言ったらすげえ叩かれると思います。「自衛隊はイラクに軍事作戦目的で派遣されたということなんですね!? 総理! 総理!」とか。私が野党なら必死につつきますし、与党なら「余計なスキを見せやがって!」と言います。逆に、自衛隊がマジ出撃してボロクソにやられて逃げ帰ってくるときに政府が「撤収」と発表したら、誰かさんが大喜びで「撤収と撤退は意味が違う。政府は情報を捻じ曲げている」とか言い出すと私は確信しています。

というわけで、撤退と撤収は意味合いが全く異なる言葉ですし、またも百歩譲ってほぼ同義であるのならば、責任者の発言と派遣の実態をあわせ見ても、わざわざ別の言葉を使用する必要性は見当たりませんので、この場合は別の言葉を使用することによる受け手の感じ方の操作を狙っているとしか思えません。とするとほぼ同義と書いた側ですらそう思ってないわけで、矛盾しています。

仮に私の上記の解釈や理解が間違っているとしても、与野党や新聞社の色分けで事実上どういうことか一目瞭然なので、どうでもいいです。

この2年後に撤収だか撤退だかでデジャブという記事を書いたのですが、その時にこの記事を見たら肝心の「発信箱:「撤退」と「撤収」=山田孝男」がリンク切れ。魚拓とっとけばよかった…と思ったらソースに記事を取ってありました。せっかくなので、見えるように掲載しておきます。

発信箱:「撤退」と「撤収」=山田孝男

政府は自衛隊をイラクから「撤収する」と発表し、毎日新聞は「撤退を決定」と報じた。これに対し、一部で「毎日は『退』という字を用いて敗北感を強調し、自衛隊をおとしめている」「政府発表を故意にねじ曲げている」などと言い立てる向きがあると聞き、驚いている。

どの辞書で調べても「撤退」と「撤収」は、ほぼ同義である。英語ならwithdrawalだ。毎日新聞は、イラクからの外国の軍隊の引き揚げに言及する場合、凱旋(がいせん)か敗走かというニュアンスとは無関係に「撤退」という表現を使ってきた。

小泉純一郎首相は「撤収」と発表したが、自衛隊だけ表現を変えるのはバランスを欠くという判断で、小紙の記事や見出しは「撤退」が基本になっている。

「退」は退却の退、W杯1次リーグ敗退の退であり、その不景気な字面を嫌う自衛官の心情は理解できる。ポツダム宣言受諾は「敗戦」か「終戦」か。二つの言葉にこもる心理的意味の隔たりは大きい。そこまでの差はないにせよ、身命を賭してイラクに赴いた自衛官が「退」に過敏であって不思議はない。さはさりながら、政府の仰せに恐縮して用語を改めるまでの話ではないと私どもは考えている。

面白くないのは、待ってましたとばかりにこういう問題をメディアたたきに利用する扇動家の存在だ。今から69年前、国会質問に「軍人を侮辱する言辞」があったかどうかで陸軍大臣と議員が争う騒ぎがあった。防衛庁が「自衛隊を侮辱する言辞」に目を光らせる時代でなくて幸いだ。お先棒担ぎの言葉狩りに自重を求めたい。(編集局)

毎日新聞 2006年6月26日 東京朝刊

山田氏も変な記事を書いちゃったばっかりに…今は怖いですね。記事が消えたor記事を消したって、こうして半永久野ざらしになってしまうのですから。

これでぐぐったら、違和感を感じたという記事がたくさん出てきた。こういうのを「メディア叩き」としか認識できない人がいるってのは、この記事から2年も経って毎日変態記事垂れ流し事件が起きた現在でも、あまり変化はないようです。ほんとに最近の毎日新聞は、かえって心配になっちゃうくらい心配です。

コメント:3

ろばQ 06-07-07 (金) 2:06

Fatal error: Uncaught Error: Call to undefined function split() in /home/kyouso/www/kyouso/wp/wp-content/themes/wp.vicuna.exc/functions.php:516 Stack trace: #0 /home/kyouso/www/kyouso/wp/wp-includes/class-wp-hook.php(326): indent_comment_body('<p>&gt;\xE8\x8B\xB1\xE8\xAA\x9E\xE3\x81...') #1 /home/kyouso/www/kyouso/wp/wp-includes/plugin.php(205): WP_Hook->apply_filters('<p>&gt;\xE8\x8B\xB1\xE8\xAA\x9E\xE3\x81...', Array) #2 /home/kyouso/www/kyouso/wp/wp-includes/comment-template.php(1082): apply_filters('comment_text', '&gt;\xE8\x8B\xB1\xE8\xAA\x9E\xE3\x81\xA7\xE3\x82...', Object(WP_Comment), Array) #3 /home/kyouso/www/kyouso/wp/wp-content/themes/wp.vicuna.exc/comments.php(54): comment_text() #4 /home/kyouso/www/kyouso/wp/wp-includes/comment-template.php(1617): require('/home/kyouso/ww...') #5 /home/kyouso/www/kyouso/wp/wp-content/themes/wp.vicuna.exc/single.php(62): comments_template() #6 /home/kyouso/www/kyouso/wp/wp-includes/template-loader.php(106): include('/home/kyouso/ww...') #7 /home/kyouso/www/kyouso/wp/wp-blog-he in /home/kyouso/www/kyouso/wp/wp-content/themes/wp.vicuna.exc/functions.php on line 516