- 2006-03-09 (木) 0:00
- 軍事
そろそろ空自の戦闘機が耐用年数なので、2009年から新機種が導入されはじめる予定です。さて、導入される機種はなんでしょう? 戦闘機の必要性だの九条だのは脇においといて、純粋に「次の戦闘機は何だろう? オラワクワクしてきたぞ」という話です。
中期防衛力整備計画(平成17年度〜平成21年度)(防衛庁サイト)によれば、新防衛大綱の下での整備数量の抑制に配意しつつ、現有の戦闘機(F−4)の後継機として、新たな戦闘機を整備する。
とあり、一番下には「新戦闘機:7機」とあります。良い響きです。
日本は今軍縮の方向にありますので、将来の戦闘機定数は今より減る予定です(300機→260機)。であれば、安価な機体を多数配備という線はないだろうと予測できます。日本が、というか先進国は兵士や装備の犠牲を厭わず数で…ということができませんし(今の日本では自衛隊員=兵が1人犠牲になっても内閣がひっくり返るかもしれない)、そこらの国や先進各国と比較して、国家規模の割に頭数も予算も少なく、人も物も数量の上限がシビアなので、最初から質を高くするという選択肢しか持つことができません。
現在、空自の主な装備(戦闘機)はこんな感じになっています。
名称 | メーカ | 用途 | 機数 | 価格(調達時時価) | 引き渡し | 備考 |
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F-4EJ改 “ファントムII” | マクダネルダグラス(米) | 要撃・支援 | 91 | 約20億円 | 1971-1981 | 調達は140機。差分は消耗/退役。 改装は1987年より行われ、要撃機F-4EJに対地/対艦能力・その他が追加された |
F-15J “イーグル” | マクダネルダグラス(米) | 要撃 | 203 | 約110億円 | 1981-1999 | 現在世界最強の戦闘機とされている |
F-1 | 三菱(日) | 支援 | 18 | 約26億円 | 1977-1987 | 1996より順次退役、2006に全機退役予定 |
F-2 | 三菱(日)/ロッキードマーチン(米) | 支援 | 61 | 約120億円 | 2000-継続中 | F-1の代替機。調達予定は98機。要撃任務も可 |
※平成16年度末。
今回代替機が導入されるのは、要撃機の古い方、F-4EJ(改)です。これの元はベトナム戦争の時代に開発された戦闘機で、元々140機あった中から耐用年数に達していない機体を近代化改修し(対地対艦/空中給油能力等の追加)、支援戦闘機F-1(退役中)の代替として任務に当てていましたが、もういい加減耐用年数ってことで買い替えです。では、何を買いましょうか?
の前に。“どこの何を買うか”よりも、“日本はどんな戦闘機を必要としているのか”を考える必要があります。我々は戦闘機に何を求めるのか。値段や見てくれなどに惑わされて目的を見失うとロクな買い物ができないのは、大根でも戦闘機でも同じことだと思います。
では、求めるものを書き出してみます。つっても、本当に難しい話は分からないので、表層だけ。
- 2009年以前に入手可であること
- できればライセンス国産できること
- 将来的に要撃/支援の区分をなくすので、対空/対地/対艦をこなせる機体が望ましい
- 現在、または近未来の周辺仮想敵国の主力戦闘機に対して質的に優位であること
- 次々戦闘機の導入まで一線でいられる能力を持つこと
- 航続距離が長い等、日本の国情や地勢に合った性能を持つこと
上記について少しずつ考えていきます。
- 1:2009年以前に入手可であること
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となると、今から国産は無理です。よって、世界のどこかで現役の戦闘機から選択して購入、またはライセンス国産することになります。導入までの時間が少ないため、いつできるかわからない未来戦闘機は却下。候補は現行機のみとなります。
導入総数については、あくまでもF-4EJ(改)後継なのと、F-15Jが200機ばかりありますので、調達機数は少数(70機…もちょっと少ないか?)になると思われます。
- 2:できればライセンス国産できること
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世界情勢がキナ臭くなってきた場合、主力兵器が輸入頼りではあらゆる意味でよくないです。輸入よりライセンス国産、ライセンス国産より国産です。国産は無理なので、ライセンス国産ができればベターです。本当に肝心な部分はライセンスを売ってくれないでしょうが…。
- 3:対空/対地/対艦をこなせる機体が望ましい(マルチロールファイター)
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現代の戦闘機は、そのほとんどが対地攻撃能力を持っています。ですが、対艦攻撃能力を持っている戦闘機は限られてきます。そのため、既存の機種を一部改良して導入、ということも考えられます。かなり前にF-2でやりました。F-16(対空/対地攻撃可能な戦闘機)をかなり改造し、対艦攻撃能力などを付加しています。
さらに、まだ将来の話ですが、F-15JとF-2の後継(F-XX)は1機種で統一し、保有機種を2つ(今回導入のF-XとF-XXで2機種)にして予算の節約を目指すっぽいです。戦闘機はどれを作るにしても、少数の場合はむちゃ高くなります。量産すれば値段は下がっていきますが(単価が[ライセンス代とか設備代とかを生産数で頭割+1機あたりの生産費]となるので)、複数機種をちょっとずつだと高いままです。機種を絞れれば量産効果が効いてきて調達価格をかなり下げられそうですし、維持整備費などの費用も機種の違いで無駄になっている分を減らせます。
- 4:周辺仮想敵国の主力戦闘機に対して質的に優位であること
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敵は何を使っているのか。仮に敵が第二次大戦レベルのプロペラ機であれば、世界最強戦闘機を揃えまくるのは予算の無駄です。別に最強戦闘機を導入しなくても、敵より十分に優れたものを装備し、相対的な優位を得られていればそれでOKです。
仮想敵国は、昔からロシア・中国・北朝鮮(韓国)です。当然ですが近所の国です。最低限ここまでは考慮するとして、できればシーレーンの周辺にある国(東南アジア・インド・中東)のことも頭に入れておくべきでしょう。今は米軍がここの安全を保障していますが、もし将来そうでなくなれば灯油が1400円どころじゃ済みません。あとアメリカも。重要なのは敵対や侵略の意思があるかないかではなく、その能力があるかないかです。アメリカは能力が最強です。ので、ごまをすって敵に回る可能性を減らしておきます。少なくとも戦闘機を売ってくれている間は大丈夫でしょう。牛肉? 微妙です。日本政府がんばれ。
というわけで仮想敵国はいっぱいありますが、全部あげたらわけわかめなので、主な仮想敵・露中韓北の主力戦闘機を挙げてみます。
国名 戦闘機総数 F-15Jと戦える感じの戦闘機について ロシア 約1000機 Su-27(フランカー)×約400機 ※艦載型(Su-33)が別に約50機。
MiG-29(ファルクラム)×約300機
※極東ロシア軍は約630機、Su-27系+MiG-29で計220機くらい中国 約1500機以上? J-13(殲撃13型)×約40機?(鋭意増強中) ※中身はSu-30のライセンス国産品
J-11(殲撃11型)×約100機?(鋭意増強中) ※中身はSu-27のライセンス国産品韓国 約350機 F-15K(スラムイーグル)×2〜4機? ※中身はF-15E 2008年までに40機調達予定
KF-16(ファイティングファルコン)×約150機 ※中身はF-16C/D 近代化改修予定?
KFX(自力開発)/FX-2(未定) ※2020年までに戦闘機420機態勢にしたいらしい。
FX-1はF-15K。北朝鮮 約370機 MiG-29(ファルクラム)×約30機? ※整備不良で稼動数はかなり少ないと思われる ロシアに対してはアメリカか中国と組んで対抗するしかありませんが(してますが)、そもそも彼の国はまだまだ戦争をする能力が経済的になさそうですし、その意思もメリットもないでしょう。ロシアも中国もしょっちゅう周辺国にちょっかい出してますが、台湾-中国の関係を見れば分かるとおり、海を越えてちょっかいだすのはとても難しいのです。まさか100万人の兵隊をイカダで送りつけるわけにもいきません。冷戦期はともかく、現代では北海道やら新潟に大規模な機動艦隊と上陸部隊ががが、というシチュエーションが発生することはないでしょう。
中国はやたら数が多いですが(自衛隊の持ってるミサイル数より多かったりして(笑))、長大な国境線とそれに伴う紛争を抱えている都合上(国土が広すぎて治安が悪いため)、台湾〜沖縄方面に振り向けられ、かつ常時そこらを脅かせる性能を持った機体は数の少ない新鋭機だけで、今のところ日本のいる側(日米台)の優勢ではないかと思います。ただ、その新鋭機を必死に増やしている現状からして、今後数年〜10数年で中国側にバランスが傾きかける可能性は高く、日米台は何らかの対応をする必要が出てくるでしょう(もうしてそうですが)。中国海軍が空母を持つ計画があったりします。まじですか。
韓国については、互いに侵攻能力がないので比較しても意味がないのですが、そもそも人口で倍以上の差があり、今後は北朝鮮という貧しすぎる同胞を養わねばならない以上(まさか永遠に放置はないだろう)、我々が生きている間に国力で負けることはないでしょう。あってもせいぜい小競り合いくらいじゃないでしょうか。
北朝鮮は言うまでもありません。
というわけで、周辺各国の装備を見てみました。今のところ、F-15Jが明日にも旧式化してしまうような戦闘機を装備している/装備計画がある国はありません。ありませんが、同等に近い戦闘機はすでに保有されていますし、数も増やされつつあるのが現状です。
じゃあ日本はそれ以上にF-15Jと同等の廉価な戦闘機を買えばいいじゃん、調達計画自体を修正してそっちの方向でいこうよ、という考え方もあるかもしれませんが、単純に機数を増やせばその通りに機能するわけではありません。飛行機を増やすということは、飛行機本体以外にパイロットや整備員どころか、基地も拡張または新設する必要があります。少なくとも短期的にそれは無理ですし、後から予算が足りなくなったからって基地を減らすのも難しいでしょうし、基地を増やすと近隣住民の反対やら、周辺国や市民団体からは露骨な軍拡と言われるわ、維持費はうなぎのぼりだわで大変です。もっと空港を! 高くて強い新型機を買うより予算、つまり国民負担が大きくなる、かもしれません(計算できないんで、かもしれません、でお茶を濁します)。どっちがいいかは私には分かりませんが、国の方針がすでに数を増やす方向ではないので、その考え方は無条件で却下となります。
というわけですので、ここから言えることは、確実にF-15Jより上の戦闘機を導入する必要がある、ということでしょう。
- 5:次々戦闘機の導入まで一線でいられる能力を持つこと
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次期戦闘機は、今のF-15Jと同様、次々機種が配備されるまで仮想敵の主力機種と渡り合える必要があります。なぜなら、今回導入される戦闘機は、F-15Jが退役するまでは自衛隊最高の戦闘機となるわけで、これが近未来の仮想敵の主力戦闘機に劣るようでは困ります。最低でも同等以上である必要があります。
F-15JもF-4EJ(改)同様に改修計画がありますが、これは機体の設計に余裕があるからできることで、例えばF-2は設計に余裕がないので大規模な改修はできないだろうと言われています。つまり、近代化改修などを施して延命や性能向上を図ることが難しいわけです。ただでさえ自衛隊は戦闘機を結構長い期間使いますので(ホイホイ買えるような値段じゃない)、後から改修できる余裕のある機体が望ましいといえます。
- 6:航続距離が長い等、日本の国情や地勢に合った性能を持つこと
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洋上での作戦が多く想定されること、数が少ないので戦力の集中を容易にしたいことから、最低でも現行機並は維持したいです。日本は国土は狭いですが、領海は広いので防空識別圏(図)は広大です。F-15Jは、東京から飛び立ち、沖縄で戦い、東京に戻ってこれ…るかな、くらい。
遠いし足が遅いから時間かかって手遅れになりました、では困ります、というか死にます。特に沖縄より南西、台湾やらガス田やらのあたりですが、あの辺には沖縄にしか航空基地がないので、航続距離・巡航速度ともに現行機に劣る性能だと将来困ることになるかもしれません。地図が手元にない他の理由でこの項、論拠薄弱です。要するに紛争予定地域まで結構遠いんです。
なお、沖縄より紛争予定地域の近くに基地作っても、遠くて他部隊が支援しづらいわ、他の役には立たないわ、マジ戦争になったら誤射かもしれない一発目で何もせず潰されるの確実だわでいいことないと思います。
以上のような条件を満たした戦闘機を導入したいと思いますが、果たしてそんなパーフェクト戦闘機が存在するのでしょうか? 存在しない場合、現実との折り合いをつけて選択するか、がんばって国産するか、いっそ自主独立を半分放棄するか決めなければなりません。それには、今現在購入可能と思われる戦闘機が何かを知っておく必要があります。というわけで、条件に当てはまりそうな戦闘機を一機種ずつ挙げ、どんなものか見ていきたいと思います。
- ※価格は1ドル120円で換算した。
- ※東京-沖縄がだいたい直線で1500km。
- ※性能面での個人的認識と評価。 F-22>F-15>F-2>F-4E F-22>F-35>F/A-18 F-22>タイフーン?ラファール>Su-27 F-15>Su-27 タイフーン?ラファール>=グリペン よくわからん。
- ※主な武装は空対空装備
- F-35 JSF
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製造 ロッキード・マーチン(米)他 価格(円) 36億円?(米軍版予定) 初飛行 2000 導入実績 米英他(予定) 最高速度 マッハ1.6 戦闘行動半径 1111km? 主な武装 AIM-120×2(格納) +空対空ミサイル×6?(翼下) ※開発中なので詳細は不明。
JSFとは、統合戦闘攻撃機(Joint Strike Fighter)の略です。アメリカ人はなんでも3文字に…。
軽量・安価・高性能・ステルスといいとこどりを目指しています。米英だけで3000機ばかり採用予定(ほんとに?)。A型、B型、C型の3種類が開発中。各型の違いは以下のとおり。
- A型:普通の戦闘攻撃機。F-16後継。ハイ・ローミックスで言うならば、少数高価なF-22のローに当ります。F-15・F-16の関係と似たような感じ。米空軍、英空軍で採用予定。C型と統合されるかも。
- B型:STOVL(短距離離陸・垂直着陸)機。ハリアー系列の後継。米海兵隊、英海軍で採用予定。
- C型:艦載型。米海軍で採用予定。
まだどこも使ってないどころか、完成すらしていない戦闘機です。アメリカが音頭をとり、複数の国家が共同開発に参加し、さらに複数の国家が出資をしています。たくさん作る予定なので単価が安くなっているのが特徴。もちろん金を多く出している国(英伊蘭など)は発言力が大きめです。ですが、日本は参加していません(参加したかったけど武器輸出禁止にひっかかったらしい)。
で、こいつを買いたい国は安からぬ開発費を負担しているわけで、負担額が大きい国ほど早く機体を回してもらえるわけですが、開発国であるアメリカですら配備は2010年以降かな、とか言ってる状況で、未参加の日本が横車を押して2009年(中期防)に購入の約束を取り付けられるわけがないです。
なので、2009年導入、という予定そのものが変更されない限り、この機の導入はありえないでしょう。
みんな(つっても西側だけですが)が導入したら日本が維持してきた空での優位がなくなるし(F-15導入国は米・日・イスラエル・サウジのみ)。そしたら相対的に空がへこむ分、他で何か強化しなきゃなりません。
- F-22 ラプター
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製造 ロッキード・マーチン(米) 価格 156億円(米軍版) 初飛行 1997 導入実績 米 最高速度 マッハ1.8 戦闘行動半径 1200km 主な武装 AIM-120C×6(格納) AIM-9×2(格納) AIM-120×8(翼下) 米軍の最新鋭主力航空支配戦闘機。当然のようにステルスです。傲慢にも“支配”とかついてますが、字面どおりの性能なのでケチはつけられません。最近配備されたばかりです。
自衛隊がこの機を導入するに当たり、性能面での問題は全くありません。世界最強ですから。今後ン10年、これを超える戦闘機は出てこないと思われます。アメリカでもしばらくはコレとF-35を主力とするので、買っとけば21世紀中ごろまでは安泰かもしれません。問題は性能以外です。
- アメリカが日本のライセンス国産を認めるか?
- 価格が高い
他にも対艦ミサイルが搭載できないとか(もともと対艦を想定してない)、国産対空ミサイルが長くて搭載できないとかありますが、本質的な問題ではありません。そんな機械でなんとかなることよりも、スパイ天国の日本に重要先端技術の塊を売ってくれるのか。売ってくれるとして、買える値段なのか。ライセンス国産だとだいたい1.5倍〜2倍が相場と言われてますから、単純に考えても一機200億円いっちゃう計算です。何人分の人生が買えるんだろ。
米軍向けの生産が2010年で終わってしまいますから、あんまり未来だと輸入できませんし、できてもさらに高くなりそうです(生産ラインが閉じてしまうため)。買うなら今。買わないならもう買えない。
あと、アフターバーナーなしで超音速飛行できるのが何気にすごい(つっても通常時より消費しますが)。従来機が超音速で飛ぶには、馬鹿みたく燃料を消費して噴かさなきゃならず、すると航続距離がガンガン減ります。
F-15との模擬空戦では、F-15側が全く気づかない間に全機撃破できた…らしい。
- F/A-18E スーパーホーネット
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製造 ボーイング(米) 価格 42億円(米軍版) 初飛行 1995(F/A-18は1978) 導入実績 米加濠瑞芬西クマ 最高速度 マッハ1.6 戦闘行動半径 722km-759km(装備による) 主な武装 AIM-120×12 AIM-9×2(全部いっぺんに積むことはなさげ) 現在、F/A-18・ふつうホーネットに続いて配備が進む、米海軍の艦載機です。スパホ。対空/対地/対艦攻撃が可能な、本当のマルチロールファイターです。将来、米海軍の艦載機はコレとF-35Cになる模様。
が、日本で使うには欠点が多すぎます。F/A-18Eと他機種と比較する場合、F-22とならば値段でしか勝てず、F-15Jとなら対地/対艦能力があるのと値段でしか勝てず、F-2となら…何が勝るだろう、値段? 対艦能力もF-2のが上か(携行対艦ミサイル数は同じだけど)。だいいち足が短いのと速度(加速)が遅いのが問題です。まさか空中給油しながらノタノタとスクランブルですか? ありえません。しかも今後ン10年は最強級でいられないでしょう。改良するにしても、すでにF/A-18から発展済の機体ですので多くは期待できません。
上記の欠点は、米軍においては“空母に搭載できる”のと“普段相手にしている敵には余裕”という最強のメリットで全部帳消しになるくらいのものですが、空母を持っていない日本では艦載など意味がありません。むしろ野党ができっこないし必要もない空母保有計画をネタに喜ぶので邪魔です。用途も「常時弱いものいじめをする」ではなく「普段はやらないけど万一の場合は強敵を相手にするかも」ですから米軍とは違います。
F-22は高価だからF/A-18Eくらいが手頃かな…とか言う意見もあるでしょうが、本質を見失っているとしか言い様がありません。F/A-18Eを選択肢に入れること自体に文句を言うつもりはありませんが、手頃という理由は明らかにおかしい。何のために買うのかと。そんなら最初からF-2作らないでコレ買っとけばよかったし、またはF-2をもっと作ればよかったし、その方が国内的にもメリットは大きいです(F-2の値段がさがる、新たにライセンス買わなくていい、機種統一が進む、三菱がおいしい、軍オタが喜ぶ)。だけど、F/A-18では要求に合わないからF-2を作り、F-2では要求に合わないから次期戦闘機を新しく買うわけじゃないですか。F/A-18EやF-2を正面からSu-27に当てる気ですか? 数増やすのは禁じ手で。それで抑止力になるんですか?
F/A-18Eは価格面以外でメリットが見えないと思います。
- F-15E ストライクイーグル
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製造 マクドネル・ダグラス(米) 価格 37億円(米軍版)/126億円(韓国版) 初飛行 1986(F-15は1972) 導入実績 米イ亜韓(台) 最高速度 マッハ2.5 戦闘行動半径 1260km 主な武装 AIM-7/AIM-120×4、AIM-9×4 現在空自が保有しているF-15Jの本家アメリカ版、F-15Cを戦闘攻撃機として再設計したものです。F/A-18Eとの差を簡単に言うと、こっちのが強いけど空母には載らないし設計が古いよ、といった感じで。
利点は、F-15っぽいので運用が他機種と比較して楽っぽいこと。元がF-15なので対空任務もF-15Jと同じくらいには期待できそうなこと。対地攻撃が超つええこと。韓国版のF-15Kは輸入でこの価格だけど(性能はF-15Eより向上しているはず)、日本は見られる足元の大きさが違うのでもっと安そうなこと。欠点は、本分が攻撃機であること(野党うるさそう)。要撃機としては良くてF-15Jでしかないこと(どっちにしろ今後ン10年はきつくないか?)、新技術もクソも元は70年代の設計なので、技術的に得るものはあまりなさそうなこと。70年代ってことで、近年のトレンドであるステルス性など皆無であること。
上記からみて、悪い機体ではないですが、次期“主力戦闘機”調達という目的にはそぐわない機体であると思います。F-15J複座型に便利機能を追加した機体が増える程度にしか思えない。“支援戦闘機”なら欲しいところですが。それでも対艦ミサイル3発だし(F-2は4発積める。というか4発積みたかったけど当時4発搭載できる機体がなかったので、金かけて作った)。
悪くはないし、欲しくないわけではないんですが、今回の要求にイマイチ合わないってことで。
なお、F-15Jを改装してもF-15Eにはなりません。設計からして違う機種で、共通点はあまりありません。テレビゲームじゃないねんねんで。でも、F-15Jを改装して対地/対艦能力を付与することは可能。イーグルプラスきぼ〜
- EF-2000 タイフーン
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製造 ユーロファイター(英独伊西) 価格(円) 45億? 初飛行 1994(原型機) 導入実績 英独伊西亜 最高速度 マッハ2 戦闘行動半径 556km 主な武装 AIM-120×6 他 いきなり欧州機。「性能はラプターの半分、でも同じ値段で3機買える」のがウリらしい。もうここからして自衛隊向きでないです。なにこのクフィル。
ほんとにこれF-15より上なの? とか、安定供給されるのか、とか、なにその戦闘行動半径、とか。これまた悪くはないが激しく微妙。米国との強固な軍事同盟を結んでいる日本の国情にも合致しません。機体の値段はともかく、設備とかほとんど一新しなきゃならないのが税金的にも痛すぎる。機体が安いからって導入費用が安いとは限らない。仮にそれらの条件をクリアできたとして、タイフーンで相手するのはSu-27やF-15K(下のラファール同様、Su-27対抗で造られたらしいが)。質で圧倒できなさげな以上、数で上を行か…数は増やせません。数を揃えられるのが売りの機体はだめなんだ!
ちなみに、サウジアラビアが72機導入した時の価格は60億〜100億ポンド(武装など全部込み。170億円相当?)で諸説あり。
- RAFALE ラファール
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製造 ダッソー(仏) 価格(円) 57億円? 初飛行 1991(試作機) 導入実績 仏 最高速度 マッハ2.0 戦闘行動半径 555km-926km(装備による?) 主な武装 AAM×8 おフランス製。タイフーンの開発から撤退して独自に高貴に造りました。タイフーン同様、おフランス規格に合わせた設備を新しく整備する必要があります。通常型と艦載型あり。
当然、武装も高貴なおフランスミサイルを搭載しますが、簡単な改修でAIM-120などを使えるようになるとか、微妙に商売気を見せています。でも自衛隊は国産のミサイルを使うはずなので、そこんとこどうなんだろう。そんな改良に金かけるなら最初からそれ使える機種買った方があらゆる意味で安そうではありますが…。
性能以外では、こいつが中国に売られる可能性があるのが問題。フランスは武器輸出大国で、ラファール等、自前の武器を売り込むことに余念がありません。が、せっかく作ったラファールは売れ行きが悪い、というかどこにもまだ売れてません。韓国(F-15Kに決定)・サウジアラビア(タイフーンに決定)・シンガポール(F-15Tに決定…中身はF-15E)とフラれ続け、インドもたぶん買ってくれなさそうな感じ。本記事の通りに日本も無理ぽ。ということで、もはや残された大口顧客は中国くらい。ン10億〜100億もする戦闘機をまとめて買える国なんてそんなにないですし、そんな国は自前で造るか、西側ならとっくにF-16とか買っちゃってますし、でなければミラージュとかMiG-XXとかで十分だし…。
もっとも、日本が買ったら中国は買わない(または売ってもらえない)かもしれませんし、日本はたぶん無理ってことで、最初から中国に売り込みかける予定なのかもしれません。
※一応EU各国は中国を武器禁輸対象国にしているが、みんな輸出したがってる - JAS39 グリペン
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製造 サーブ(瑞) 価格(円) 約30億円? 初飛行 1988 導入実績 瑞南ア 最高速度 2.2 戦闘行動半径 800km 主な武装 AAM×6 本機の特徴は、小型・安価・そこそこ性能。対空対地対艦をこなせます。さらに短距離離着陸(STOL)能力を持ち、高速道路からでも離陸できたり(日本の高速道路で可能かどうかは知らない…はっ、角栄の真意はここか!)、運用コストが安いらしいです。
あまり金はないけど周辺国もたいした空軍を持っていない場合は良い選択肢だと思います。東南アジアとか。安いし使いやすい上に旧式機は圧倒できます。
では日本にも合うかというと、想定している仮想敵が強いのと、数増やすのが禁じ手なので、いまいちです。ついでに足が短いのもマイナスです。
以上、様々な(中露以外の)戦闘機を見てきましたが…米国製以外を導入するなんてありえません。よって、タイフーン、ラファール、グリペン、全部かませ犬。
で、私個人はF-22を推したい。推したいのですが…やはり高価すぎます。単純に計算しても、ライセンス国産で1機当り200億〜300億円になるとして、最初の7機だけで1400億〜2100億円。100億の戦闘機なら同じ7機にセットで護衛艦がついてきます。仮に10年で70機調達するとして、1兆4000億〜2兆1000億円? 消費税1ポイント1年分が飛びますね。
防空・防衛というものが、絶対に戦闘機vs戦闘機ありきというのならともかく、F-22と他戦闘機の差額分のコストを戦闘機以外に回したほうが総合的な防空・防衛力を上げるのに有利なのであれば、そういう選択肢もアリかもしれません。仮にF-22を70機購入するのに近い予算が組めるのであれば、100億の機体70機&7000億〜1兆4000億より安い何か(レーダーサイトや護衛艦&よさげなシステム、偵察衛星なんかもアリか)をそれと比較し、抑止力としての存在価値も含め、どっちがよりベターであるかを見極めるべきです。もちろん20〜30年後も考慮して。
なんですが、現状では戦闘機を中心としたシステムを装備するより確実な手段はないはずです。だからみんな必死に戦闘機を揃えているんですし。たとえば今流行のミサイル防衛なんかは戦闘機を撃ち落すのが目的ではありませんし、それが目的だとしても、まだ実用化されていない物をアテにして戦闘機やーめた、というのは理屈がおかしい。あっちの方が金かかりそうだし、敵からしたら怖くないし。
では、経済的にだけ現実を見てF/A-18EかF-15Eの2択でしょうか。今だけで考えるとこれで構いませんが、次々期戦闘機(F-15J・さらにF-2後継…大量導入か)まで考えると疑問符です。もしそれにF-35、もしくはその次の米軍機、または国産機を導入とすれば、途中でF/A-18Eを数10機だけ買ってン10年使うって無駄が多いような気がします。それこそF-15Jを足りない分だけ追加すりゃいいじゃん、くらいの勢いで。とすれば、ちょうど韓国向けにF-15K、シンガポール向けにF-15Tと、F-15Eが売れ行き好調なので、そのついででF-15Jに似て非なるもの…F-15Eを売ってもらう、というのもありなのかもしれません。
F-35が微妙、または次々期戦闘機は国産を目指すとしても、やっぱりF/A-18Eはないと思います。何度も言いますが、値段以外に利点が見えません。んなら買わないで米軍の一部を戦闘機ごとリースしたいくらいですが、なんか利害以外の部分でマイナスが大きそうです。
激難しい。どうすっぺ。結局選択肢は4つです。
- 必死に働いてF-22を買う
- 売れ筋のF-15Eを買う
- 2009年をあきらめてF-35の発売を待つ
- 落としどころでF/A-18Eを買う
とか言っといて、8月の時点でF-15Eはすでに脱落したとか報道されちゃってて(ソース失念)、F-22、F/A-18E、ユーロファイターの3機種に絞られたっぽいんですよね。つまりF-22か。
とか言っといて2、先日、米の最新鋭戦闘機F22「日本への輸出有力」 専門紙って出ちゃいました(記事が消えてたら、記事タイトルでぐぐってください。たくさん出てきます)。このネタ、1月あたりからちょこちょこ書いてたんですが…時代に追いつかれてしまった!
米の最新鋭戦闘機F22「日本への輸出有力」 専門紙
2006年 2月20日 (月) 06:17
米空軍の最新鋭戦闘機F22ラプターを日本へ輸出する案が空軍内部で検討され、有力になりつつあると、空軍関係専門紙が18日までに伝えた。機密性の極めて高い先端軍事技術が多用された軍用機で、これまで他国と共有することには否定的だったが、日米同盟関係の緊密さを優先させる判断に基づく方針転換とみられる。ただし、巨額のコストなど課題は多く、日本側が受け入れるかどうかを含めて今後の曲折が予想される。
軍事産業業界のニュースレター「インサイド・ジ・エアフォース」の最新号によると、主製造社のロッキード・マーティン幹部が対日輸出について「まだ最高レベルの検討には及んでいないが、そこへ向かいつつある」と述べたという。
同紙によると、日本の防衛当局者もF4戦闘機の後継としてF22に関心を持っており、同社や空軍と協議したことを認めた。年内に米国へ航空自衛隊の調査担当者を派遣する方針も示したという。
F22は、レーダーに捕捉されにくいステルス性と超高速巡航能力を兼ね備えた高性能戦闘機として90年代から開発されてきたが、冷戦の終了で計画が縮小され、現時点では合計約180機調達が予定されている。昨年12月に初めてバージニア州ラングレー空軍基地に実戦配備されたばかり。
同紙によると、1機の調達価格は約1億3000万ドル(152億円)で、同社幹部は日本側にもほぼ同様の価格を提示しているという。
輸入ならライセンス国産よりは安いですが、うーん、売ってくれる気あったのか。暗に開発費を後払いで負担してくれって言われてるに近いんじゃないのか。でも欲しいなあ。売ってくれ。
とりあえずF-4EJを古臭いとか言ってる人は「ファントム無頼」読め。
用語など
- 日本は今軍縮の方向にあります
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軍備が拡大/縮小しているかどうかは、軍事予算が支出内訳に占める割合や、かけた金額の額面ではなく、それによって得られている相対的軍事力の大小で判断すべきだと思います。
国家予算に占める軍事費の割合が上がっている、という理由で日本は軍拡している、という見方をされることが多いですが、意図的錯誤もいいとこです。支出内訳に占める割合が大きくなると、軍事力が増えるんですか? 防衛予算はここ数年減りっぱなしで、増える気配すらありません。適当にぐぐるか、防衛予算関連文書(防衛庁サイト)でも見ればすぐわかります。特に最近、自衛官の給料や装備の調達費が安くなったというのなら話は別ですが。
そもそも軍備は他国と比較して初めて意味があるものです。日本の例でいけば、中国が超軍拡中である以上は多少かける金を増やしたところで増強とはとても言えません。むしろ弱くなっている、といえます。何でもいいから数字がプラスになってるところを見つけて、だから軍拡だ、というのはナンセンスでしょう。実際、「国家予算に占める防衛費の割合」以外でプラスになってる項目が見当たりません。予算も、装備も、頭数も減っています。そして近隣国はそれらを増大させつつあります。それでも日本は軍拡ですか? 逆でしょう。
上で「自衛官の給料や装備の調達費が安くなったというのなら話は別」と書きましたが、つまり、日本と中国で兵隊の給料は同じか? 同等性能の兵器の価格は同じか? ってことなんです。自国内だけならともかく、他国と比較する場合は額面で比較しても意味はありません。同じ額でも雇える人数、買える鉄砲の数が違うんですから。そして、軍事力は他国(敵)と比較して始めて意味があります。ちょっと分かりやすく表にしてみました。
国名 人口(万人) 兵力(万人) 軍事予算 対GDP比 1人あたり
軍事費兵員1人あたり
人口1人あたり
所得(GNI)軍事費負担度
(軍事費/所得)日本 12000 24 458億 1.0% 382 500人 34510 1.1% 中国 129000 225 256億 1.6% 20 573人 1100 1.8% 韓国 4800 68 184億 3.2% 383 71人 14162 2.7% 北朝鮮 2250 110 16億 ? 71 20人 914 7.8% 米国 28000 143 4236億 3.6% 1513 196人 34280 4.4% 英国 5900 21 360億 2.6% 610 281人 ? ? 仏国 6200 24 336億 2.7% 542 258人 ? ? 独国 8250 34 282億 1.6% 342 243人 ? ? - お金の単位はドル
- 基本的に2004年、その年度の数字がないところは別年度(2001〜2003くらい)
- 意図的に混乱を招くような年度のデータは持ってきていないはず
- 米国より下は参考なのでちょっといい加減め
どう見ても日本は軍事に力を入れてません。割合系データが全部最低水準じゃないですか。人口と所得が大きく、物価と生活水準が高いから額面もでかくなる、という結論になりませんか?
“世界で2位の軍隊 – 軍事大国日本”とはよく言ったもので、視点が予算限定です。その予算ですら実際は1位から10倍近く離されており、“2位”という強そうな響きだけが一人歩きしています。強いて言うなら2位グループの筆頭くらいでしょうか。米国に次ぐ2位グループに入っているというのは、先進国という点、人口の多さという点、所得の大きさという点から見て当然じゃないでしょうか。日本は大国に次ぐ規模の国なんですから。
あと、2位説を信じている人には申し訳ないのですが、今は円高が落ち着いたので(93〜96年くらい? の1ドル100円割ってた頃はドルベースだと超膨らんだ)ロシアに抜かれて3位になってます。ついでに言うなら、中国は現在700億ドルを超えてるとか言われてます(ロシアも中国も正直に申告するわけないことを念頭に置いてください。情報を統制している国です。少なくとも日本よりは)。
さらに、額面で2位でも1人当たり負担額は国民の暮らしぶりが似たようなものであろう欧州各国より低くなっています。韓国は半分戦争中みたいなものなので単純に比較はできないでしょうが。
だいたい、なぜ人口も物価も命の値段も違う国同士を額面だけで比較し、他を見ないのかがよくわかりません。ある種のミスリードを誘っているとしか思えません。
もちょっと、購買力とか、軍事費に占める兵隊の給料の割合とかも出すべきなのでしょうが、そこまで資料を持っていないし、本題とは違う項なので勘弁してください。
で、現状、軍事には周辺国と比較してあまり金をかけておらず、次期中期防などから見て今後も増強路線ではない、ということです。ですが、このまま中国だけが強くなりすぎると危険なので、日本もどこかで金をかけはじめる必要があるとは思います。
なんでもそうですが、物事の一側面のみを見て全体を判断しない、目隠しで象を撫でさせられることがないようにしたいものです。
- 図録▽世界各国の軍事力(上の表より分かりやすいかも)
- 将来の戦闘機定数は今より減ります
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旧防衛大綱では戦闘機定数300機でしたが、財務省案216機、防衛庁案282機で、新防衛大綱で260機になりました。片山さつき懐かしいですね。以下参考資料。
項目 旧大綱 防衛庁案 財務省案 新大綱 陸上 自衛官 16 16.2 12 15.5 戦車 900 678 425 600 海上 護衛艦 50 50 38 47 潜水艦 16 16 14 16 航空機 170 156 125 150 航空 戦闘機 300 282 216 260 偵察機 27 14 10 ? 輸送機 57 61 42 ? 空中給油機 0 4 4 ? 単位は万人だの両だの隻だの機。下3つは調べんのめんどくさ。偵察は減ってるだろうし輸送は海外任務あるから大幅減はないはずだし、空中給油は4機通ってる…と思う。
話は逸れますが、始まれば死んだり壊れたり動かなかったり逃げたりで減るし、負けずに終わったとしても、大幅に減った状態でどうすれば? 必要最小限で十分とかありえない。
で、またもやどこ見れば軍拡になるのかと。こんなに減らしてるの日本だけだよ。
- 要撃・支援
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ここでの“要撃機”はいわゆる戦闘機(敵航空機の排除が主任務)、“支援戦闘機”はいわゆる対地/対艦攻撃機(敵地上部隊や艦船の攻撃が主任務…対空も一応できるよ)という意味で構いません。
- ライセンス国産
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ここでは、外国産の戦闘機を許可を得て(許可料を支払って)国内メーカが生産すること。ラ国。国産や輸入するのと比較して調達価格が高くなる場合が多いですが(ライセンス代+設備費+生産費)、自国産業の技術力を高めたり維持したり、響きは悪いですが、軍需産業向けに仕事を確保したりできます。仕事がないと兵器生産技術が落ちたり絶えたりしてしまうという理由づけです。
また、イザというとき国内で調達が可能なため、外交的な弱みが少なくなります。自衛隊は国産以外の兵器はだいたいライセンス国産で調達しており、完全輸入は少ないです。
ちなみに、輸出版やライセンス版は本家より性能を下げるのが普通です。例としては、湾岸戦争で米軍のM1A2戦車にボッコボコにされたイラク軍のロシア製T-72戦車は、ロシア連邦軍向けのものより性能を故意に下げたモンキーモデルだった…など。韓国軍が米国より購入したF-15Kはソフトが入っていませんし、自衛隊がライセンス国産したF-15Jも一部ソフトが提供されなかったので、日本で開発したものを使用しています。
話はそれますが、年に数両の発注だったり、不定期だったり、開発にすげー金かかったり、大して稼動しない生産ラインは維持しなきゃだったり、保守部品を大量にン10年保管しなきゃいけなかったり、それでいて他に売るのは禁止だったりして、日本の軍需産業は儲かってないと思います。少なくともあちこちから言われるように「高い戦車を言い値で売りつけてウハウハ」ではないでしょう。癒着たって、他にやれる企業がないんじゃ…。
- F-15Jと戦える感じ
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タイマン戦闘でどうのという意味ではなく、にらみ合いが成立する力関係…抑止力として有効かどうかという意味。F-15Jの装備国に対してプロペラ戦闘機を装備しても無駄ですが、例えばF-16やF/A-18なら無駄ではありません。ということです。例えば現代の米軍最新鋭機と他国の旧式機では「米軍機の携行ミサイル数+αの機数」がないと、旧式機側は全く対抗できない、とすら言われるくらいです。
たとえば、機関銃を装備している敵歩兵に対し、手元に竹槍しかなければ挑む気は普通おきません。が、自動小銃があれば「こっちが多勢ならいけるかも」と思うかもしれませんし、機関銃があれば五分と思えるでしょうし、原爆があれば攻撃するまでもなく相手を脅して言うなりにできます。単純化すると、だから今、中国は必死に新鋭機を配備し、軍の近代化を目指しています。
F-22が相手だったらやる気なくす。そしたら「日本は軍拡しているアル! 過去の(略」と口撃するのがもっとも有効か。というか言わせてる間は平和が確保できますね…。
- 約1000機
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ロシアが日本側に配備しているのは、ロシア軍の中の極東ロシア軍という組織です。正確な戦力は資料を持っていないので分かりませんが、だいたい兵員10万人、艦艇290隻、航空機630機程度。Su-27などの最新機種は極東優先配備らしいです。
アニメとかで、やっと敵を全滅させたと思ったら「それは敵の一部隊に過ぎなかった」みたいな気分。例:ブリタイ艦隊で全部じゃないのかよ!→ボドルザー基幹艦隊で全部じゃないのかよ! やはりロシアは敵役が似合いますね。
- 約1500機以上?
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中国の機数はかなり推定。謎。ロシア同様、極東に全力が向いているわけではありませんが、新鋭機はこちら側優先というのも同様です。
- 自前の武器を売り込むことに余念がありません
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自国で作った武器を自国だけで導入してたら採算あわない…どっかに売って単価下げよう、ということです。日本も国産兵器が高いってよく言われますが、それはヨソに売らないし売れないのも一因。法律だったり、国土に合わせた機能(外国では無駄)があったり。
ふつう見かけない国名記号
- 蘭:オランダ
- 濠:オーストラリア
- 芬:フィンランド
- 瑞:スイス
- 西:スペイン
- ク:クウェート
- マ:マレーシア
- イ:イスラエル
- 亜:サウジアラビア
参考資料
- あっちこっちのサイト
- 戦闘機年鑑 (2005-2006)
戦闘機愛称一覧(2006/03/09 13:00 追記)
初飛行 | 名前 | 愛称 | 英語 | 意味 | 映画等の出演 | 備考 |
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1945 | F-1 | ファントム | Phantom | 亡霊 | ? | 旧F1H。艦上戦闘機。世界初の実用ジェット艦載機。 |
1947 | F-2 | バンシー | Banshee | 女の妖精(ケルト) | ? | 旧F2H。艦上戦闘機。 |
1947 | F-9 | パンサー | Panther | 豹 | ? | 旧F9F。艦上戦闘機。改良型:クーガー(Cougar:アメリカ豹) |
1948 | F-10 | スカイナイト | Sky Knight | 空の騎士 | ? | 旧F3D。艦上夜間戦闘機。F-3が埋まってたのでこのナンバーになったらしい |
1951 | F-3 | デモン | Demon | 悪魔 | ? | 旧F3H。艦上戦闘機。 |
1951 | F-6 | スカイレイ | Skyray | 空のエイ | ? | 旧F4D。艦上戦闘機。見た目超よし、これぞ戦闘機 |
1953 | F-7 | シーダート | Sea Dart | 海の投げ矢 | ? | 旧F2Y。ジェット水上機(実験機)。水上をスキー板で滑走して離陸…だめぽで開発中止 |
1954 | F-11 | タイガー | Tiger | 虎 | ? | 旧F11F。艦上戦闘機 米海軍アクロバットチーム「ブルーエンジェルス」で使用された |
1955 | F-8 | クルセイダー | Crusader | 十字軍 | ? | 旧F8U。艦上戦闘機 |
1958 | F-4 | ファントムII | Phantom II | 亡霊 | ファントム無頼 | 艦上戦闘機。 |
1959 | F-5 | フリーダムファイター | Freedom Fighter | 自由圏の戦闘機 | トップガン(敵のMiG役) | 軽戦闘機 C型:スコシタイガー E型:タイガーII |
1963 | YF-12 | – | – | – | ? | マッハ3の迎撃機。高価すぎてボツ。SR-71ブラックバードの兄弟 |
– | F-13 | – | – | – | – | 欠番。13だから |
1970 | F-14 | トムキャット | Tomcat | 雄猫 | トップガン(主役機) | 艦上戦闘機 見た目よし |
1972 | F-15 | イーグル | Eagle | 鷲 | ゴジラvsビオランテ | 高級戦闘機 いまだ実戦で被撃墜なし |
1974 | F-16 | ファイティングファルコン | Fighting Falcon | 戦う隼 | ゴジラvsメカゴジラ | 安価戦闘機(ファルコンは商標とられてた) |
1974 | YF-17 | コブラ | Cobra | コブラ(蛇) | ? | F-16に負け空軍で不採用、海軍でF-18の原型になる |
1978 | F-18 | ホーネット | Hornet | スズメバチ | インディペンデンス・デイ | 現用の艦上戦闘機 対空/対地/対艦の万能機 |
1981 | F-117 | ナイトホーク | Nighthawk | 夜鷹 | ? | 噂のステルス攻撃機 F-19のハズだった |
1982 | YF-20 | タイガーシャーク | Tigershark | 虎鮫(トラザメ) | エリア88 | 戦闘機 輸出用に開発されるがF-16に負け、3機のみ製作 |
– | F-21 | ライオン | Lion | ライオン | ? | イスラエルのクフィル(Kfir:ライオン)戦闘機を仮想敵用に借りたときにつけた型番。 |
1997 | F-22 | ラプター | Raptor | 猛禽類 | なし? | 最新ステルス戦闘機 |
1990 | YF-23 | ブラックウィドゥII | Black Widow II | 黒後家蜘蛛(クロゴケグモ) | ? | ステルス戦闘機。F-22に負けて不採用。 |
- 1962年に米軍全体で機種名変更があったため、それ以前の機体は年度とFナンバーの順番が合わない。
- 現代の戦闘機はほぼ全天候型だが、昔は夜間も活動できる戦闘機は少なかったため、夜間戦闘機などの区分がある
- 頭にYがつくのは試作機。
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- 那珂川 06-03-08 (水) 15:28
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