マスコミはアホとか言うつもりはないが

「被害者名発表は警察が判断」修正・削除なし

犯罪被害者基本法に基づく政府の犯罪被害者施策推進会議（会長・安倍晋三官房長官）の会合が２６日、首相官邸で開かれ、政府などの今後の取り組みをまとめた基本計画案を全会一致で決めた。２７日に閣議決定される。

被害者を実名・匿名のどちらで発表するかの判断を警察に事実上委ねる項目については、報道機関だけでなく被害者からも異論が出ていたが、修正・削除されず計画案に盛り込まれた。

ただ、取材・報道の自由を規制したり、恣意（しい）的な判断や安易な匿名発表を認めたりするものではないことを確認した。

この日は、施策推進会議の下で検討会が議論してきた内容について、座長代理の山上皓・東京医科歯科大教授が報告。被害者名発表の項目では、「警察に新たな権限を与えるものではない」などと説明し、推進会議で了承されたという。

また、被害者らに対する国の補償など一部の重要課題については、今後、新たな検討会を設け２年以内に結論を出すことになった。これに関連し、同会議委員の杉浦法相は、刑事裁判の中で加害者に賠償請求もできる制度など、被害者らが刑事手続きに当事者として直接関与できるよう、早期に法改正するよう検討したいとの意向を明らかにした。

（2005年12月26日14時57分 読売新聞）

(マスコミ|警察)は信用できないとか、被害者も加害者も名前が出ないなら警察が事件でっち上げられるね、とか、この案のいい悪いについては、ここでは横に置いてください。

この件についてマスコミは反対してるんですが(しなかったらむしろおかしい)、反対理由はどこで聞いても「報道の自由」「知る権利」一辺倒で、被害者が実名で報道されることが我々にとって具体的にどのようなメリットがあるのか、について全く説明されません。

だから、マスコミの言ってることをすげえ意訳すると、「俺らの既得権を削るんじゃねえ」としか聞こえないのです。穿った見方をすれば「ワイドショーの視聴率が落ちるだろ」と言ってるようにしか聞こえないんですが、私がマスコミを信じてなさ過ぎるんですかね?

一方、被害者が実名で報道されることへのデメリットはテレビ(ワイドショーと呼ばれる番組だけでなく、いわゆる報道番組でも大差ない)を見れば明らかです。特にセンセーショナルな事件の被害者や被害者の身内などは、延々とマスコミにくっつかれて日常生活を送ることすら困難な状況に陥っているであろうことは、誰もが容易に想像できます。だって、毎日家の周りにハシゴだのカメラだの中継車だのがいるんですよ。「国民には知る権利があるんですよ! 答えてください!」とか、周囲の住民からの「お前らのせいで大騒ぎだ、迷惑だ」という無言のプレッシャーもすごいんじゃないでしょうか。

もう少し想像の翼(この言葉を素で使う奴はキモイから寄るな)を広げるならば、実名→電話番号→住所→職場と順に割り出され、イタ電や寿司の出前は当然として、終いには仕事を失った上にその地域に住むことすらできなくなっているかもしれません。アナオソロシス。テラカワイソス。

つまり、テレビを見てる人は「被害者になると名前が売れてうれしい」なんて思うことはなく(意図的に悪い例えですまん)、たいていの人は「うわっ、やられた方は通常ダメージに加えて追加効果までっ」と思うわけです。私はそう思います。例えば自分が被害者になったとして、実名報道されることに対して全くメリットを感じません。感じる人、いますか?

それにメリットを感じないのが私の考え足らずである、という考え方もあるでしょうし、それは事実かもしれません。ならば、それは修正されるべきですし、修正したいと思います。ですが、私は愚かなので自己啓蒙で考えを改めるなんてことはありません。なので、それにメリットを感じて欲しい側が、それにメリットを感じない層に対して、それにメリットがあることをアピールしなくてはならないはずです。

要約すると、マスコミはアホ。